たぶん恋、きっと愛



同じ時。

雅の教室へ向かう途中で、父からのメールを確認した友典は、ぎゅ、と眉根を寄せると、立ち止まった。


視線を上げれば、一年生の群れが昼食を取ろうとざわざわしている。

雅の教室は、すぐそこだ。



「………伝えたらチョコレートを与えると良し………?」



…チョコレート?

この親父は何を言ってくれるんだろう。

確かに雅は菓子類が好きだけれども、ペットじゃあるまいし。

だいたい自分がどんな顔してチョコレートなんかを渡せばいいんだ。



友典は足を止めたまま、メール画面を睨みつけると、初めて父と共にいる凱司を恨んだ。


そして、腹立たしくもある。



「…たかだか1日会わないだけで……」

どれだけ皆して甘やかせば気が済むのか。

よりによって、父まで。

何も何ヶ月も戻らないわけじゃないだろうに。



チョコレートよりも、鷹野一樹を何とかするべきじゃないのか?
 


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