たぶん恋、きっと愛
「どうしたんですか?怖い顔して」
突如、声を掛けられて、友典は飛び上がるほど驚いた。
いつの間に来たのか、雅が顔を覗き込んでいる。
「…あ…いや……」
甘やかし過ぎだろう、と思っていた矢先。
目の前に現れた少女に、友典は思い切り目を逸らした。
慌てて携帯をしまい込むが、雅は友典の、不自然なまでに逸らされた目を、追いかけた。
「…内緒ですか?」
「…………」
雅は、何も言わずに目を逸らしたままの友典を、ふと不安げに見つめた。
「………凱司さんに、何かあったんですか?」
「いや!!……いや…そうではなくて…」
慌てて取り繕うように視線を合わせれば。
すでに顔色を失う雅に、“甘やかし過ぎ”などという言葉は、綺麗に消え去った。
「……そ、うではなくて……」
意地を張る、虚勢を張る、という事を知らないかのように、不安に目を揺らす雅に、友典は。
チョコレート、持ってねぇよ親父……、と、目を泳がせた。