たぶん恋、きっと愛
「あの…少し、だけ帰りが…遅くな……る、と」
途切れがちな声に、雅の目は、ほっとしたように和み、次いで揺らいだ。
「……どのくらい?」
「……………さあ、それは」
ショックを受けて揺れた目は、少なからず友典を慌てさせたが、雅はそれ以上取り乱す事もなく小さく息を付くと、笑顔を取り繕った。
「そ、ですか。怪我したのかと思った…。良かった」
宇田川さんも帰って来ないんじゃ、友典さん寂しいですね。と首を傾ける雅に、拍子抜けした友典は。
思わずまじまじとその顔を覗き込んだ。
「……凱司さんが…戻るまで、うちにいませんか」
「え?」
凱司がいつ戻るか解らない。
父も居ない。
あの家に、鷹野一樹と2人きり。
友典にとって、それは何よりも脅威に思える。
あの“佑二”とて、決して安心できる存在とは思えないのだから。