たぶん恋、きっと愛
「…よろしく、お願いします」
どのくらい無言だったろうか。
雅は乾かされた髪もそのままに、凱司の前に、真っ直ぐに立った。
「…………おぅ」
おぅ、じゃねぇだろ!と鷹野は内心突っ込む。
「あたし、…なにすればいいですか?」
不安気なのは、そうだろう。
今まで身を売ることしか知らなかったのに、端から凱司は、お前は抱かない、と言っているのだから。
「……部屋をひとつ、作る。…いいか、お前はちゃんと学校行け。部活も、何してるか知らねぇが、しろ」
淡々と話す凱司を見つめ、雅は真剣に頷く。
「そうしたら、出来る範囲で構わない、家事をしろ」
黙って聞く雅と、ようやく目を合わせて、凱司はゆっくりと、含めるように喋る。
その労働と、部屋代を…俺が相殺する。
「お前の身柄は、俺が買った」
だから、体、勝手に売ってくんなよ?
と、凱司がはっきりと呟けば、雅の顔がくしゃりと、歪んだ。