たぶん恋、きっと愛
自分を思って、だけでは無かったように、思えた。
髭を触られ、いつになく強引な雅に、しどろもどろな宇田川を見ていると、単に。
宇田川自身が、嫌だと。
雅が鷹野に流されてしまう事を嫌だと、感じたようにも、思える。
息子を思って、かも知れないし、保護者感覚かも、知れない。
「雅、やめてやれ」
苦笑は治まらない。
凱司の腕が雅を絡め取り、そのまま抱き寄せた。
途端におとなしく髭から手を引いた雅は、目の奥に僅かに不安定な揺らぎを残したまま、凱司のシャツに顔をうずめ、その腰に腕を回した。
「…………嗅ぐなッ!」
「…もう少し!」
ぎゅ、と凱司にしがみつくように抱き付いた雅が深呼吸をするのを、ようやく腰を伸ばした宇田川が安心したように見つめる。
鷹野は、苦しそうな、楽しそうな、複雑な面差しで眺めていたけれど。
ふと諦めたように、肩をすくめた。