たぶん恋、きっと愛


「お前、俺の部屋からアザラシ持って来い」

「アザラシ?」


「あれ抱いてりゃいいだろ。とりあえず離せ」


そう言いつつも、特に引き剥がそうとはしていない凱司の顔を見上げ、雅は唇をとがらせ、拗ねたように再び顔をうずめた。




「…………あと120秒」

そしたらアザラシにします。



「120秒…? いやお前…それ…相当長いだろ」


「…凱司さん……カチカチですね」

「……………」



ぴく、と。
それぞれが反応を示す。


宇田川は咳き込むと、つと目を逸らし、鷹野はぐしゃりと、手にした茉莉花茶の塊を握り締めた。




「…………主語を言え」


ビキビキと青筋の立つ音が聞こえそうな凱司の、表情を見上げもせずに、雅はあっさりと。


腹筋、と呟いた。
 



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