たぶん恋、きっと愛
「俺が父親ならお前、母親みたいだぞ」
「えっ…まさかの夫婦設定!? 嫌だ!こんなヤクザな旦那いらねぇ」
「……うるせぇな」
「…あれ?」
口許しか見えない、雅が。
…夫婦設定…のとこは否定しないんですね、と。
真面目に呟いた。
「…………えぇ…?」
「………わ…わざわざ否定しなきゃなんねぇ程の信憑性すら…ねぇだろが……」
げんなりと、凱司は顔を歪め、鷹野は声を出さずに肩を震わせて、笑う。
雅は、拗ねたように唇を尖らせて、だって…二人暮らしだし。と呟いた。
雅の唇を指先で押さえた鷹野は、耳元で。
俺も、凱に拾われたんだよ、と囁いた。
「17ん時だから…何年?」
「…5年だな」
「そか、まだ雅ちゃんが小学生の頃からだ」
だけど凱司に喰われるとか、思った事もないなあ、と鷹野は笑う。
「鷹野さん、22歳? 凱司さんは?」
鷹野の指を乗せたまま喋る雅が、タオルを少し浮かせた。
「凱司いくつだっけ」
「………28」
え、もうそんな? と。
鷹野はわざとらしく笑ったけれど。
手はしっかりと再び。
濡れたタオルを、押し付けていた。