たぶん恋、きっと愛


「………ひとりで…いさせてください」

「駄目よ」


「まっすぐ、帰りますから」

「…駄目」


ひらひらと手を振りながら、息吹が部屋に戻り、ドアを閉めた事を確認すると、坂崎は。

しばらく付けていなかった南京錠と、鎖とを、掛けた。


振り向いた坂崎の顔は、怒りのようでもあり、苦々しい、悲しげにも見えるような顔で。

店を出ようとドアに手をかけた雅をの肩を、掴んだ。



「絶対に、駄目。章介さんがあなたを迎えに来るもの」


「顔…!……合わせられないんです」



携帯を、見れない。

きっと

たくさんの着信があるに違いなくて。


そこに無いだろう鷹野の名を、探してしまうのも、つらい気がした。



「どうして……どうして、息吹ちゃんと…?」


坂崎の手は、雅を離さない。

どこまでの事を知っているのか解らないままに、雅は。


あれも、これも。
うまく噛み合わないけれど。

きっと…愛、なんです。



とだけ、呟いた。
 



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