たぶん恋、きっと愛
「あなた方は!! 一体何をしていたんですか!!」
由紀の叫びは低い。
そばにいた坂崎が、その巨体をすくめ、目を覆う。
「坂崎さん、ご無沙汰しております。この度は、娘を保護してくださり、ありがとうございます」
急に態度を和らげた所で、由紀が凱司を殴った、という事実に、坂崎はオロオロと視線をさまよわせ、同じくびっくりして固まったままな雅の背中を、そっと押した。
「雅さん」
「…ぃ」
「いらっしゃい。髪を…何とかしなければ」
章介さん、友典を連れて、凱司さんのお家へ行っていてください。
「凱司さん、雅さんをお借りいたします。申し訳ありませんが、章介と友典をお願いいたします」
テキパキと。
強引に事を進める由紀に押し込まれるように車に乗せられた雅は、ちらりと見た凱司の顔が、ひどくつらそうにしかめられるのを、見た。