切端詩集 断片的な虚構
階段の下
『階段の下』
随分前に死んだばあさんの部屋は
階段の下にある
そこで寝ていると
階段を昇り降りする足音がする
その音はひとりひとり違っていて
誰が二階へ行くのかとか
すぐにわかる
そのうちだんだんと
この音が少なくなっていくんだな
いつの間にか
あの世のほうが
知り合いが増えてる
そんな気がするんだ最近
それでこの世に未練が薄くなる
ばあさん、迎えに来い