切端詩集 断片的な虚構
霧の中
『霧の中』
濃霧の暖かさの中で
もう一歩も動かない
なにも変わるな
封印してたそんな言葉を
この中で初めて囁く
こんな濃霧は
もうしばらく起こらないだろう
だからそんな時だけしか
自分を許さない
なにも変わるな
僕を置いていくな
一度でいい
そう言わせてくれ
こんなことでこぼれおちる
自分の鱗のようなもの
驚くね
そう…裏返ったんだ
僕の中の濃霧が