切端詩集 断片的な虚構
甘い毒薬
『甘い毒薬』
今朝は氷点下まで下がった
夜は寒さで喉が凍りそうだった
今朝は冷えきっている
昨日思い出した過去の過ち
それで昨日から
すでに冷えきっている
こんなときは
愛する人からの慰めすら
役に立たない
朝早くからカフェに自分を隔離する
ただ在るところから見れば
これもまた至福だけ
それを許さないのは
自分という幻想が惜しいからか
こんなひどい人生の中で
汚点を憎むことが癖だなんて
まったく不思議としか
言いようがないな
瑕疵があるんじゃない
私が瑕疵なのだ
不正直にまみれて生きてきて
不正直を捨てられたこともある
そのことが免罪になり
そのことが枷となり
苦しみを生む
苦しみを生むというよりは
楽にさせない選択を重ねる
罰するのは許されるために
結局は愛されるために
愛を捨てるんだ
清く生きれば許されるとでも?
許されてることが許せない
誰から愛されたいか
すっかり見失っていて
見失っていても機能する慣性
それすらも磨りきれて
なくなっていくんだろう
タンドゥル・プアゾン
の香りがするカフェの洗面所で
そんな予感を
手を洗いながら