切端詩集 断片的な虚構
街灯



『街灯』


蛾のようにただそこで
ぼうっと
暗闇より
この薄明かりが

点滅する街灯
の下

おまえはだれだ?
夏が終わるほんの少しまえに
私の正気が消える

世界が書割になったから
この街灯の下でしか
生きていけないとでも?

ああ
照らせよ、点滅が果てるまで
消えてしまいたいのに
それが恐ろしいんだ









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