切端詩集 断片的な虚構
変わらない気持ち
『変わらない気持ち』
痺れるような孤独に
身動きもできない日も
結局同じ孤独を抱えながら
今、この快楽を泳ぐ
切り裂かれていたことを
思い出すのは遠い
遠いけれどはっきりと蘇ってくる
今も切り裂かれたまんまの
その傷を血を快楽に委ねる
残酷さと絶望
いつもキーワードはそれ
そのカケラもない今も
はっきりとその深遠が
僕の上に見える
闇は赤く
空は星がない
それでも美しい
凄まじいくらい
晩春の新緑が魔法のように
僕の幸せのように
鮮烈に戯れる
ほらほら、それもそうさ
何も変わらない
あのときも
かのときも
その萌木は僕の胸を貫いた
愛してる
愛されてる
絶望や過酷ささえも
僕に遊んで欲しかった
いつもここにいるよ
こんどは何をしようか