八重桜の木の下で
「冷たい保護者……おまえのために持ってきたけど、絶っ対、やらねー」

「何をくれないんだ?」

「わりばし」

「あっ!忘れた!箸持って来んの、また忘れたー!……せいじくーん」

「知らね!そのへんの小枝でも削って作れ」

「そんなぁ!わりばしちょーだい!頼む!感謝のコトバを送るからー

「……俺だけはしっかりしなきゃ。なあ、いつまで裏門にいるんだ?
もう10時半だぜ。先生来ないな。なんかあったのかなあ?」

「あ、ひょっとしたらあれのせいかなあ…。実は、うちの弟が今年小4で、
小崎先生に担任してもらってるんだ。それで聞いた話なんだけど、一昨
日の放課後に先生を探しに行ったら、職員室で泣いてたんだって。」

「えーっ!?」

「小崎先生って、泣くんだ……」
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