あたしが見た世界Ⅲ【完】
あたしは偵察の男たちをナイフのキャップで殴ったり、鳩尾を突いたりして気絶させる。
行動からして、彼らはどう考えても殺し屋じゃない。
そんな彼らを殺す気にはなれなかった。
それに聞きたいこともある。
「おい、」
あたしは転がってモジモジしている男に話しかける。
「おまえ、誰だ」
「……普通、自分から名乗るんじゃねーの」
男は苦しそうに、面倒くさそうに言った。
「生憎、名乗る名など無い」
「………フン…」
男は呆れたように目を閉じた。