あたしが見た世界Ⅲ【完】
男が言ったことは、本当のことかどうかは分からない。
あの男は、銀蝉という族に入っていて、昨日襲われたらしい。
傘下に入らないと命はない。
偵察しないと命はない。
命令に背くと命はない。
まるで呪文のように言われたのだと言っていた。
『俺らはただ、バイクに乗って走るのが好きだっただけなのに』
男はそう言って自嘲気味に笑っていた。
リーダーらしき人物が言うことには、世界征服を狙っているらしい。
お前たちの仕事はそれの基盤となることなのだと。
『アホらしい』とは思っていたものの、従わなければ命はない。