あたしが見た世界Ⅲ【完】
「……笑えや」
「へ?」
「男を惚れさせた顔、見せてみ?」
よく俺は何を考えているのか分からないと言われる。
俺自信よく分からん。←オイ
「…え……えと…」
彼女は少し狼狽えた後、「えへ」と照れたように満面の笑みを俺に見せた。
その笑顔は、俺が今まで見た中でとても綺麗な笑顔だった。
けど思った通り、彼女の笑みを見た俺の胸が、ズキンと痛んだ。
俺はフッと笑って、彼女の頭に手を置く。
「……ジャク…?」
不思議そうな彼女が目に入る。
「……………………」
俺は彼女の頭をべしっと前に突き出した。
「痛っ!!?ちょっ、なにすん!!?」
――……まぁ…いっか
俺は少し口角を上げる。
「ジャク?あ、またニヤけとるし…」
「ニヤてません~」
「まだ妄想癖治ってないん?」
「想像力が豊かなだけやし~」
「それを世間一般では妄想って言うんよ」
そう言って彼女は笑った。
――アイが幸せなら、
「あ、もう始まっとるんじゃない!!?」
彼女が駆けていく。
「はよ行こーやぁ!朱雀!」
「はいはい」
俺は彼女に急かされて走る。
――それでいいや