あたしが見た世界Ⅲ【完】
「最初は、ただの研究材料という対象にしか興味がなかった」
「…けど、成長するにつれて、あたしが…母さんに似ていた……」
あたしは父さんの言葉をつないだ。
「だから、余計に夜一はアイを攫いだした」
父さんはあたしの言葉に頷いて、続けた。
「そして、夜一はそんなことを繰り返しているうちに、アイ自身に興味が出てきた」
「どんだけ攫われてんだよ、オマエ」
リュウ兄が半目であたしを見て言った。
「知らん」
あたしはリュウ兄を見ずに言った。
知らないというより、記憶にないと言った方が正しいのかもしれない。
「続けるぜ?……んで、渚への歪んだ恋愛感情はアイに移動し、あんなんになったってワケだ」