あたしが見た世界Ⅲ【完】






「因みに、夜一が気に入ったものに焼き印を入れるのは、子供が自分のものに名前を書くのと同じで、自分のものには自分の印を付けるということからきているらしい」




知り合いの研究員が教えてくれたけど、と父さんは前置きを言った。




「…そんで、お前らをさらう前の話らしいが、夜一は渚に似た人を片っ端から訪ねていたらしい。アイツがまだ渚を想っていた証拠だな……」




父さんはそう言い、悲しそうに目を伏せた。




「……………」




複雑な気持ちだ。




自分の大切なものが、気づけば人のものになっていて、自分ではもう手が届かない。




やっと会えたと思えば、自分を知らない全くの別人。




いや、別人だけど。




そんなことを繰り返して、彼の心を支配しているのは、恐らく――






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