Repeat
クリスマス・イブ
“人は大切な人を失ってからこそ、その人が本当に大切な人だったことに気付かされる”
菜奇は学校が終わり家に向かっていた。
いつものように下校し、友達とバイバイして自宅に入る。玄関を開け家に上がり、ローファーを人差し指で脱がし、家に上がる。
よく見てみると兄、灸の靴が玄関に脱ぎ捨てられていた。先に灸が帰っていたようだ。
リビングのすりガラスから部屋の光がもれている。リビングのソファーには、横になって週刊漫画本を読みながら、見もしないテレビをつけている兄、灸の姿があった。
「おぉ、おかえり。」
「ただいま。」
季節はまだ十二月で外では寒そうに枯れ葉が揺れている。
でもにリビングにいればもう白い息も吐くこともないし、去年のクリスマスプレゼントに貰った赤いマフラーに頬をうずめる必要もない。