ただ、その一言が言えなくて。
「ではー教科書が12冊あるか確認して下さいー…」

先生の声を子守り歌代わりにしてうとうとしていたときだ。


ガラガラッ

「すいませーん遅れましたー。」

…誰だよ!私の心地よい睡眠の邪魔をしようとするのは!←


入って来たのはさっきぶつかった青年。

あまりの驚きに私の目は点になる。


え…先輩じゃなかったんだー…。


驚いてポカーンとしていたら、目が合ってしまった。


相手も私に気付いて、笑顔を向ける。


昔から、男の人に慣れてない私は照れくさかったのと、さっきのこけたのを思い出して目を逸らしてしまった。



こんな一部始終が、後々私をあんなに苦しめるなんて、このときは思わなかった。
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