子猫になった私




その夜、彼は暗い顔で戻って来ました。


「あの子はどこにもいなかったよ。」


私を抱きしめて言うあなたの手を、舐めてあげることしか出来なくて。


ごめんね、ごめんね。


あなたを悲しませて。

いつも心配かけることしかできなくて。

あの、お姉さんみたいに。
綺麗で、優しい人になれたらいいのに。


私はまだこんなに小さくて、あなたを抱きしめることすらできないの。
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