子猫になった私
お姉さんがそう呟いてからしばらくして、彼が帰ってきました。

「お帰りなさい。」

「ただいま。」

彼はお姉さんに挨拶したあと、疲れたようにため息をつきました。

「…知り合いの女の子がいなくなってね…。」

彼はお姉さんに言いました。
私のことだ!
すぐに気がついて彼の前で鳴きました。

私です。
気付いて下さい。
助けて下さい。

「…ねこ?」

彼は、私を驚いた眼差しで見つめるだけでした。

やっぱり通じなかった…。
しょんぼりすると、しっぽが垂れました。

「家の前にずっといたから。飼ってあげられない?」

お姉さんが彼に言いました。

「いきなりだなぁ。俺は仕事でほとんど家にいないぞ?淋しがらないかぃ?」

「ねこだし、大丈夫だと思うわ。私も時々様子を見に来るから。」

彼は私を抱き上げました。

「大人しいな。
いい子にするかぃ?」

「ニャ(うん)。」

「よし、じゃあ飼ってやろう。」

彼は私を膝に乗せました。
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