野獣の誘惑

 無事嵐が去ったところで、柚は心配そうに俺を見つめる。

「大丈夫? 何もされてない?」
「お、おう」

 される前に柚がやらかしたからな。

「……あいつら、私の瑞季に触りやがって」

(お前のものになった記憶もないけどな)

 俺の手を握りながら悔しそうに舌打ちをする柚。

 昔から何故か柚は俺を溺愛している。いや、自意識なんかじゃなくてね。



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