一歩
1歩
「帰り、プリ撮ってかない?」
入学式から一週間経った日の帰りの学HRで悠莉がそう話しかけてきた。
「あ、うん」
初めて話をした日から、いつも一緒にいた悠莉と帰り道、プリクラを撮るのは初めてだった。
いつも帰りはファーストフード店やファミレスなどで他愛もない話をしていただけだった。
だから、私はこの日、ちょっとだけプリクラを撮るのが楽しみだった。
早く担任の長々しい話が終わらないものかと、そわそわとしていた。
そして、時計の秒針が12を回った時に、誰よりも早く立ち上がっていたに違いない。