一歩




―――――…



「ゲーセン行こう」


放課後を告げるチャイムと共に悠莉が私の腕を引いて、教室を出た。


悠莉はよく私の腕を引っ張る。
なんでも「杏里はよく迷子になるから」らしい。

尤も?
私は悠莉といる時に一度も迷子になったことはないのだけれど。


それでも、悠莉に腕をひかれるのは嫌いじゃない。

それはきっと悠莉だからだと思う。


私の人生初の友達だから。





私が悠莉のことを考えながら歩いていると、ゲームセンターについた。





「お、もう来てんの?」




悠莉のその言葉に顔を上げると、ゲームセンターの入り口のところで、たむろっている柄の悪い少年たちがいた。



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