一歩
出席番号的に一番後ろになった私は、背もたれに体重を預け、足を組んで、校長の話を聞くわけでもなく、体育館を見回した。
上級生が用意したであろう椅子やら机やらは、やけに雑に置かれている。
古びたバスケットゴールは今にも落ちてきそうな錆具合だった。
「―――――…では、皆さん、高校生活を存分に楽しんでください」
ザッと、周りの人が一斉に礼をしたから、私も慌てて礼をして、顔をあげると校長がステージの階段を下りていくのが見えた。
ステージの一番右端に“それ”はいた。
凄く目立つ、金色。
綺麗に染め上げられた金髪の髪が見えた。