一歩



【ごめん、今日学校休むね】



悠莉にそんなメールを送ったのは、優輝たちが学校に来なくなってから一週間ほど経った日。



【わかった~。どうしたの?】


一分もしないうちに返ってきた悠莉のメールに返信もしないで私は玄関に向かった。



「ごめんね~、杏里ちゃん」



玄関で右足を高いヒールに入れかけた私の背中に声がかけられる。

悪びれる様子もないようなその声に吐き気がした。


「いえ、大丈夫です、お義姉さん……」


何かを言われる前に、私はそのまま家を飛び出した。




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