一歩



―――――…


「それじゃ、お疲れさま~ん」


一体どれくらいの人の相手をしたのだろうと思った。

気がつけば深夜0時を回っていて、最後の人とヤり終えると、私はいつものごとく体を何回も洗って店を出た。



カラン、と心地よい風鈴の音とは裏腹に私の心は酷く重い。



今日は、口の中で何回も男のそれを舐め、口の中に出され、吐き気がした。

だけど、その場では吐けないからずっと我慢してた。



だから、店を出てすぐ横の人目のつかないゴミ箱で吐いた。

胃の中に何もなくなっても尚、吐き続けた。



そんな私の姿は酷く滑稽だろう。




喉が焼けるほど吐き終えると、私はそのまま家へと向かい、歩き始める。





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