一歩
いきなり、声をかけられて、驚いて右を向くと、派手な女がいた。
クルクルになった綺麗な茶髪の髪に
派手なメイク、
派手な爪、
耳にはピンクのピアスがキラキラと輝いている。
自分を“悠莉”と名乗ったその子は愛らしい顔で私に笑いかける。
「私は、杏里」
悪意のこもっていない顔だったから、無視するわけにもいかず、とりあえず私も名前を言った。
「このクラスに同中の人いなくて、困ってたんだ。よろしくね」
「…よろしく」
“悠莉”と短い会話を終えた時、教室のドアが開いて担任が入ってきた。