‐月のしずく‐
今思えば、納得いくような、いかないような……。


俺はうーん、と唸りながら、頭を抱え込んでいた。



「そんなに悩むことじゃねぇだろ。好きなら好き、って気付けられたんだからさ」

「簡単に好きって……」


俺は相当、難しい顔してたんだと思う。

ミッチーがため息をついて、またもや俺に指を指してきた。



「知也、自分の心に素直になれ。そうじゃないと、後々後悔する。間違いなく、お前は春日が好きなんだ」

「……………」



そうは言われても、こんな気持ち、生まれて初めてなんだ。


それには、戸惑いだらけだ。

……簡単に自覚ができない。



「ま、春日を他の男に取られないよう、せいぜい頑張れよ」

「…………」


ミッチーが俺の頭を撫でて、またお菓子をポリポリと食べだした。



春日が……取られる。


他の男に?

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