‐月のしずく‐

切なさのままで。

その後、各自で自由行動ということで、俺はミッチーと共に行動した。



食べ物にうるさいミッチーは、あれこれ食べ物の店ばかりに行き、かなり振り回された。


つ、疲れる……。


「うっわぁ。あっちの美味そうっ!」

「ちょっ、お前少しは遠慮しろよ!」

「ヤダ☆もういつ、ここにくれるかわからないし、今のうちに楽しまなきゃ〜♪」


そうニコニコしながら、俺の腕をグイグイと引っ張っていく。


本当に勘弁してくれ……。


俺はミッチーに気付かれないよう、ため息をついた。



ガヤガヤと周りは騒がしい。

皆、早く早くと、待ち構えていたのだ。


「えー、これからキャンプファイヤーを始めますっ」


委員長の一人がそう一言言うと、皆が拍手をしながら盛り上がった。


……夜、今夜はキャンプファイヤーがあるのだ。


俺達が泊まるホテルは、少し離れた所にキャンプ場があり、そこでしている。

他にも、いろいろとあるらしい。


結構、すげぇホテルなんだな。


いまさらだけど、ウチの修学旅行、実は『研修旅行』という目的もあり、唯一盛り上がる大きな楽しいイベントというのは、コレだ。


研修旅行でもあるって知った時は、俺含めて全員が、ブーイングでさ。


でも、キャンプファイヤーがあると知った途端、皆は『楽しもう!』って、話がそっちに言っちゃったのよ。


…ま、学生では最後の修学旅行になるわけだし。

その修学旅行がそんな目的が入ってるのは嫌だが、楽しもうか。

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