‐月のしずく‐
「知也っ、皆がこっちに来いだってさー!!」


ミッチーが向こうからデカイ声で、俺を呼ぶ。

声がデカイしうるさい……と思いながら、俺は行った。


だがそこにいた男女達となぜか、恋バナになった。


好みのタイプとか、気になる人の話とか、彼氏彼女の話とかさ。


正直言うと……つまらなかった。


そのつまらなかった理由というのは、周りを見渡してわかった。



春日が……いない。

…また?


「おい、知也?」


急に無言のまま立った俺に、皆の視線が俺に集まった。


「ちょっと、ごめん」


俺はそう言うと、その場から去った。



盛り上がる声を背後で感じながら、俺は春日を探し始めた。


…なんだか、春日を好きと自覚してから、逆に春日のことがわからなくなっていた。


本当に、余裕がないほど、戸惑いだらけだ。


すると、ベンチに座っている春日の姿を発見した。

少し離れた場所でしているキャンプファイヤーの様子を、眺めていた。


―――春日が好きなのは、変わりがないものだから。


俺は春日の姿を見て、思った。


聞いて…みるか。


俺は決意をした。

いつかは一歩、踏み出さなきゃいけないから。


“春日を知りたい。”


すべては、その思いからだ。

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