‐月のしずく‐
第2章

幼い嫉妬。

あっという間に、修学旅行は終わり、今は夏休み間近ということで皆浮かれている。

まあ、実際、俺も半ば浮かれているけど。


俺はちらっと斜め前の席の、春日の背中を見つめた。


春日に会えないのは……寂しいな。

…なーんてな。


俺は心の中でため息をついた。



「思うんだけどさっ」

深いため息をつきながら、キレたような口調で言うミッチーに何事か、と思う。


「そんなに悩まなくてもいいんじゃないの?」

「へ?」


いきなり、そんなことを言われても困る。

意味がわからない俺は「何に?」と聞き返す。


するとミッチーはまた頭を抱えながら、ため息をついて言った。


「だから、春日のこと!」

「春日の…?」

俺は首を傾げる。

「知也さ、春日のことを知りたいって言うけど、そんなに悩まなくてもいいと思うよ」


俺は黙ったまま、聞いていた。


ミッチーは俺を真っ直ぐに見る。


いつも真剣な話をするときのミッチーは、目を真っ直ぐに見る。

だから微妙に、緊張するんだ。

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