‐月のしずく‐
「知也は春日の周りがわからないことを、気付いてるんだ」

「俺が?」



驚いた。


そんなこと、言われるとは思いもしなかったから。


ミッチーは…わかっているのか。


「それだけでも、今は充分だと思う。何も無理に知ろうとしないで、別に行動移せ。その時まで待てよ」


何も無理に、か。


ミッチーが言いたいことは、よくわかる。


無理に知ろうとしたって前に進めないだけだ。

俺はいつもそれだけで、悩まされた。


それなら……他で行動に移し、前に進む。


でも、春日のことを知らない限り、俺はきっと春日のことを想っているから。



「ま、恋は待ってばかりじゃ、進めないからね♪」


もっともなことを言うミッチーに、俺は薄めた笑みを見せた。


俺、ミッチーに言われないと気がつかないことが多いな…。


そして、苦笑する。

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