‐月のしずく‐
俺が春日の事を“好き”って気付いてから、どれくらい経ったのだろう。

ふと、そう思った。


結構経っている筈なのだけど、これといった行動は、出来ていない。


ミッチーの言う通りだな……。


俺は少しばかりに顔を引き攣らせた。


「……最近は平気なんだな?」

「うん。まあね」


その時、なにやら会話が聞こえてきた。

ここからは死角になっており、誰と誰がしてるのかはわからない。


特に何の気もないけれど、壁からそっと覗いてみた。


「……え?」


目を見開いた。


そこには、見覚えのある二人……春日と風間の姿。


何で二人が、あんな親しそうに……。


「雫、無理するなよ?」

「わかってるってば。しつこいわよ、蓮」


えっ?

名前で呼び合うほど、親しいのか?


だって二人とも、いつもはフツーに苗字で呼んでるし。


俺は気になって、気になって。


……そして。


風間を、憎みたいぐらいだった。


俺ではできない、春日と親しくしてる風間に。



いつの間にか、俺は風間を睨んでいた。

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