‐月のしずく‐
「じゃあね」

「ああ」


二人が別れて、春日がこちらにやってくる。


やばっ、と思った時には……。


「何してるの?」

「えっ……」


春日がこちらを睨んでいた。

俺は混乱して、何て答えていいかわからない。


春日ははっとしたような顔をして、俺に聞いてきた。


「まさか今の話、聞いてた?」

「えっ? えっと、よく分からなかったし……」

「そう。なら、いいわ」


ほっとしたような顔をした。


なに?

そんなに聞かれてほしくなかったのか…?


春日はしばらく黙っており、俺は訳がわからないまま、春日を見ていた。


「じゃ」

「えっ、ああ」


そう言って俺の横を通り過ぎ、去っていた。


春日の背中を見ながら、俺は考える。


風間との関係は一体―――。


俺は壁に寄り掛かり、胸の中のモヤモヤを消すように、ぎゅっと胸倉を掴む。


はあ、とため息をつく。

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