‐月のしずく‐
それ以来、俺は気になって仕方がなかった。

泣いてた理由はなんだろう、と。


やはり、よっぽどの理由があるのだろうか?



聞きたくても、聞けるわけがなくて。


気がつけば、俺の視線の先にはいつも、春日の姿があった。



「つーか、修学旅行って早くね?」


そう一言、文句を呟いたのは幼なじみで親友の、相川充。

本人いわく、いまどき“充”という名前はないだろう!と言っている。

だから俺は、周りのみんながつけたあだ名“ミッチー”と呼んでいる。


俺の場合、ミッチーの方がどうかと思うけどな……。


「そうか? 普通じゃね?」

「俺嫌だよー。真夏の7月に旅行とかぁ。日差しが暑いよー」

「お前は吸血鬼か」


机になだれ込み、唸るようにずっと言うミッチーに「うるさい」とシャーペンでデコピンをした。


バチンッ


おー、いい音。

「い゛っ。いってぇーーーっ!! 何すんだよ、知也!!」

「ん? うざかったから、デコピンしただけ。でも、逆効果だったみたいだな」


と、俺はニッコリ微笑み、知也の首ったけを掴み、蹴り飛ばし強制に帰らせた。


なんかいろいろと言ってたが、無視。

俺は今、忙しいんだ。

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