‐月のしずく‐
彼女の身体は、想像以上に細くて。


なんだか、もっと強く抱きしめたら、壊れそうだった。



「……………」


春日は黙っていた。



強気で、真面目で、元気。


それが彼女の、印象だった。



だけど本当は、違うんだ。



わからないけど、きっと彼女は…弱い。




俺は彼女を抱きしめたまま、空を見上げた。


満月だった。


真っ暗闇の空を照らしている。



…好き?


わからない。


だけど、意識してしまうんだ。



この時の俺は、まだ、この気持ちがなんなのかわからなかった……。

.
< 9 / 35 >

この作品をシェア

pagetop