Distance
突然、隣を歩く遥の足がとまった。
そのとき自然に繋がれた手がほどけた。
そう、自然に。
あたしたちの距離が三歩ほどひらいたとき、あたしは振り返って遥の顔をみた。
その顔といったら……
真っ青で、見開かれた潤む瞳で、ただ前を見つめていた。
「……理…子……ッ」
震える彼の声があたしたちの距離をより一層遠いものにしたよね。
いや、はじめからあたしたちは触れあえるほどの距離なんかにいなくて
あたしはただ本当の立ち位置を見ただけだったのかもしれない。