Distance


ベットの乱れたシーツに寝転がりながら静寂を感じていた。

そう言えば遥が来る前もあたしはこんな暗闇にいたんだった。



いつもなら向かいあわせで眠るのに、今日は背中をむけている。


遥、今どんな顔してる?



「俺、施設で育ったんだ。生まれた頃から親はいなかったけど先生と友達がいたから寂しくはなかったよ」


静寂から生まれる遥の声に耳をすませる。


「さっき会った子は理子って言って俺の一つ下でよく一緒に遊んでたんだ」


耳を塞ぎたいのに塞げない。

彼の体温がまだあたしの肌に残っているのを感じながら、あたしは黙って彼の言葉を飲み込む。


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