Distance
あたしの手首を掴む手がゆっくり這うように昇ってきて指と指を絡ませて手を繋いだ。


「こうしてて。落ち着くから」

「……ウン」


あたしが承諾すると遥は優しく微笑んでまた瞳を閉じた。



「アンタはさ、」

「名前で呼んでよ」

甘えるような声はあたしの心臓をくすぐる。
あたしはゴクリと生唾を飲んだ。

「……遥は、今までどうやって暮らしてたの?」



「拾ってくれるヒトに飼われてた。その代わり求められたら何だってしたよ。捨てられるまで」

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