ロマンチックに欠く女
「英、俺寒かった」
教室に戻って早々俺は友人英を探して連れ出し、いつもの自分たちの席へ着くと感想を述べた。
「お前、さっきまでは愛しの彼女との弁当だーってルンルンで言ってなかったか?昼休みまだ10分も経ってねーぞ?
つか、この7月の猛暑日に何その阿呆な感想」
うん、10分でね。
俺の心はあり得ないくらいの氷河期を迎えたんだよ。
「おい、お前ホント何があったんだ?」
「かくかくしかじかです」
「かくかくしかじかって意味分かんねーし。マンガじゃねーんだから伝わるわけねーだろ。何言ってんの?」
「…とりあえず破局の危機です」
「なんだ、いつもの事かよ。損した」
「コラ待てよ!てか待って!」
さっきまで一緒に昼食をとっていた向こうの男子の所へ戻ろうとするので俺は懸命に引き止める。