ロマンチックに欠く女
「日向!居るか!?」
少し息を荒げながら教室に入ってすぐさま尋ねる。
すると、俺の悪い予想通りの答えが聞こえてきた。
「日向って…刈沢さん…?
彼女ならついさっき全速力でどこかへ行きましたけど?」
やっぱり逃げられたかぁー…
彼女、敏感なんだよなー
つーかそこまで避けなくても俺、食ったりしないのに…
「…柳先輩ですよね?刈沢さんに用があるなら伝えておきましょうか?」
ドアの近くに居た女の子が俺に気を遣って話しかけくれる。
でも、言伝した所できっと無視されるのがオチだろう。
「いや、ありがたいけど大した用事じゃないから良いんだ」
俺はお礼を言って1年の教室を後にすると、彼女に確実に会える細工をして昼休みを終えた。
そんな俺の様子を見て友人の英は無言で俺を冷たく見下ろしていた気がするけれど、きっと気のせいだろう。