ロマンチックに欠く女


「ねぇ、どこ行くの?」


「帰ります」



「でも、日向の家は真逆の方角だよね?」





そう、彼女の家は真逆の方向にある。

何で俺が彼女の家の場所を知っているのかというと1度近くまで行った事があるからだ。
だから、厳密に言うと明確な場所は知らない。ただ近くまで帰りに送った事があるだけだ。

だから家の方向ぐらいは知っている。


そして日向には可愛い所もあって…いや勿論全部可愛いのだがその中でもお茶目さんな所で…(中略)…つまり彼女は極度の方向音痴なのだ。


だからこうして少し見慣れない所へ来るともう帰る方向が分からなくなる。






「……そうですか。本当は違う気がしてたんですけどね」




少し強がりを言う日向は表情ではクールだけど、内心はかなり焦ってると思うんだ。

どう?可愛いでしょ?




「もう少しデレても良いのに」



「先輩にデレたら何言われるか分かったもんじゃありませんね」



「勿論可愛い可愛いって耳元で囁いてハグしてチューするよ」



「先輩が生きている間は近づかないで下さい」





あー!だから置いてかないでってば!
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