ロマンチックに欠く女
というわけで。
「ハイ」
「…何ですか、コレは」
いつもの帰り道。
俺は放課後の清掃をサボって近くの花屋までダッシュして買って来たその品を渡す。
保管に困るので花束にはせず、一輪だけ買う事にした。
「勿論、俺の愛を伝えるに相応しいバラの花だよ」
俺はどうぞと彼女の前に差し出す。
うん、真っ赤なバラは彼女の魅力をより一層引き立てている。とてもお似合いだ。
「…受け取れませんよ」
少し顔が引きつっていたけれど、いつもの刺々しさが今日はなかった。
「やっぱり、俺にプレゼントされるのは嫌?」
「嫌ですけど…バラは特別です」
特別?
「受け取れないのは、私がすぐに植物を枯らしてしまう人だから」
「俺は、日向に受け取って欲しいんだけど」
「ダメですよ。―――バラが可哀想です」
「!!」
そうして微かに微笑む彼女に俺は思わず、息の仕方を忘れる。