ロマンチックに欠く女
「…?
どうかしましたか、先輩?」
暫く固まって身動き1つしない俺に不信感を抱いたのか、彼女が訝し気な目で俺を見てきた。
「…いや、ちょっと…ね」
「意味分かりません」
「無性に日向にキスしたくなった」
「誰がキモイセリフを言えと言いましたか?」
「…キスして良い?」
「はさみを先輩に投げつけても良いですか?」
まさか本気ではさみを鞄から出されるとは思ってなかった。
軽く傷ついた。
「…じゃあ、キスは我慢するから、このバラだけでももらってくれない?」
何だか気に入ってもらえてるみたいだし。
「嫌です」
「枯れたら俺がまたバラを贈るから」
「そういう問題じゃ…「良いから」
俺は彼女に無理矢理押し付けて走って去る事にした。
コレ以上一緒に居たら受け取ってもらえなさそうだし。
それに……手を出してしまいそうだ。