ロマンチックに欠く女


それに俺、日向の口から“友達”なんて単語初めて聞いた。





「…そのお友達って誰?
見間違いじゃないかな?」





俺はあくまでも白を切る。
じゃないと彼女はこの花を受け取ってくれなくなる。


貴重な彼女の笑顔を見る事が出来なくなる。…それだけは何としても避けたい。



せっかく彼女が俺に心を開きかけているというのに…!!





「とにかくもう、要りませんから。
それにたくさん先輩からお花をいただいてますし。もう、置き場所にも困ってきた所だったので。
お花もやっぱり枯らしてばかりですから…だから、要りません」




「枯らしてしまってるなら置き場所困ってる事はないでしょ?」




「………とにかく要らないです。それでは」





そうして去って行く彼女を俺は無言で引き止めた。





「要らないなら、日向が捨てて。
俺、今日もバイトじゃない用事があるから行くね」





そうして無理矢理彼女の手にラッピングされた花を握らせ、俺は走り去った。



あーあ…本当はありがとうとか笑顔とか見たかったけど、仕方ない。

今日は今までの日向養分で頑張るしかないか…花屋だけに。
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