ロマンチックに欠く女
「お前、ギャグくさいよ」
「…酷いじゃないですかー店長ー」
どうして俺の周りには優しくない奴ばかりなんだ。
俺は見事にバイト先でやさぐれていて。
それを店長に指摘され、愚痴って話をし、今に至る。
ここは花屋でも結構大きなお店で、割と地元では有名なお店だ。
俺の家にも近く、彼女の家からは遠いと言うなんとも素敵な条件のバイト先だった。
それに、もう1つ利点があったんだ。
「それじゃあ、これからはバラ買わないの?」
「…いえ、買います」
「じゃあ、しっかり働けよ」
そう言って彼女は奥へと引っ込んでしまった。
口調は男っぽいが、店長は女だ。男らしい女性だった。
長い髪は一つに束ねていて、年齢はおそらく30前後。
そして彼女はお金が大好きな人だ。
だから、俺のバイトの志望動機を聞いて1つ提案をしてきた。
『もしアンタが、私の指定する額の売り上げを残せたら給料から前払いしてやるからバラ1本ずつ買えば良い』
そして俺は、その話に見事食いついた。